カテゴリー: knit and more

ノステピン(糸巻き棒)の使い方と選び方

毛糸玉(中央から糸を引き出すタイプ)を作るには、専用の糸巻き器があると便利です。
でも、毛糸の量が少ない場合、たとえば色別にちいさな毛糸玉を作ったり、残り糸をきれいに巻いたりしたい場合、そんな大掛かりな道具を使わなくても、ノステピンと呼ばれる糸巻き棒(→ 当店で取り扱っているノステピン)、または代用品となる棒があれば、大丈夫。これを使えばきれいな毛糸玉が、簡単に作ることができます。
毛糸を巻く方法、ノステピンの選び方などを以下にまとめてみました。

ノステピンを使った毛糸玉の作り方(中央から糸を引き出すタイプ)


ノステピン(または短い棒)に糸端を少し残しながら、毛糸を巻いていきます。
(中央から毛糸を引き出したい場合、ここで残した糸端が、最初に引き出す糸になります。また残した糸端が邪魔になる場合は、ノステピンの溝に巻いておくか、マスキングテープなどで仮留めすると作業がしやすくなります)


作りたい毛糸玉の大きさ(タテ)より少し短い長さまで、棒に対して横に毛糸を巻いていき、


その後、棒を少しずつまわしながら、糸を斜め45度に敷き詰めるように巻いていきます。このとき、できるだけやさしくふんわりと巻くようにすると糸が傷みません。



ぜんぶ巻けたら毛糸玉に対して糸を横に巻き、端をはさみ留めて、



棒からすぽっ。
はい、できあがり!

ノステピン(糸巻き棒)の選び方


すべりが良く、ガザガザした素材で作られていないものを選ぶのがポイントです。すべりがよくないと、外す時にひっかかってしまい、せっかく作ったきれいな毛糸玉が崩れてしまいます。

また先にいくにしたがって、ほんの少し細くなっていくものを選んでください。細くなっていないと、出来上がった毛糸玉がうまく抜けず、最悪の場合、もう一度やり直しなんてこともあります。

棒の長さは、長くても30cm未満くらいが適当です。あまりに長いと、手首を大きく回さなければならず大変&結構、疲れます。毛糸の太さ、作りたい毛糸玉の大きさによって、必要なノステピンの長さは変わってくるので、用途によって変えてもいいかもしれません。

当店で取り扱っているノステピン

シェットランド・ハップ・ショールの今と昔

ハップ・ショールの歴史と編み方を取り上げた新刊『Shetland Hap Shawls, Then and Now シェットランド・ハップ・ショールの今と昔』(2006年刊行)の取り扱いを始めました。

ハップ・ショールとは、シェットランド諸島で古くから、少なくとも150年以上前から編まれていた日常使いのショールのこと。
北の寒さを防ぐ防寒着として、また赤ちゃんのおくるみとしても使われていたというハップ(=「暖かな覆い」「暖かく包むもの」という意味の言葉だそう)は、シェットランドに同じく伝わる繊細でゴージャスな伝統ニット「シェットランド・ショール」とは違い、少し太めの糸を使ってざくざくと気軽に編まれているのが特徴のひとつです。

働く女性たちの日常着として編まれたハップは、その構造もとてもシンプルです。
「センター」と云われるまんなか部分は、基本的にガーター編み。そのまわりをレース編み(多くの場合「Old Shale」日本でいう藤編みが使われます)と縁編みで囲むという形が一般的でした。
簡単に素早く編めるように工夫された、まさに普段使いにぴったりなショールなのです。

カジュアルなガーター編みと、かわいらしいレース編みで編まれたハップのデザインは、現代の私たちから見ても魅力的です。
装飾的過ぎず、モダン過ぎない。機能的で美しいデザインといったらいいでしょうか。
そう感じる人は海外でも多いのか、近年、ハップ・ショールをアレンジしたパターン(Kate DaviesさんのA Hap for Harriet・2014年やJared FloodさんのQuill・2012年などなど)が次々と発表され、人気となっています。

地元の女性たちの日常着であったハップは、島外で取引される最高級のシェットランド・レースとは違い、記録があまり残されてきませんでした。



今回取扱いを始めた新刊『Shetland Hap Shawls,Then and Now シェットランド・ハップ・ショールの今と昔』は、そんなハップの知られざる歴史と編み方を、19世紀からの貴重な写真とともにひもといた一冊です(2006年刊行の本書は、ハップに光を当てた先駆的一冊でもあります)。

著者のSharon Miller(シャロン・ミラー)さんは、Rowan等で作品を発表しているイギリスのニット・デザイナーさん。彼女が古い赤ちゃん用のハップに出会ったことから、この本は生まれました(このハップのパターン・編み方も本書に掲載有)。



ニット・デザイナーらしく、ハップのパターン(編み方説明)も、たっぷりと収録。
ビンテージ・ハップから、四角形ではない変形ハップ、ヴィクトリア朝時代のハップをもとにしたパターン、レース部分の伝統的な色見本レシピ、伝統的な縁編みなど、ハップについて知りたい方にはもってこいの内容になっています。
また編むときのコツや「伝統的な編み方」「現代でよく使われる編み方」についてもきちんと解説されていて、うれしい限り。


長らく品切れで、入手困難だったこの本。
今回、ひょんなことから在庫が見つかったとのことで(シャロンの息子さんが倉庫で見つけたとか!)、急いで取り扱いを依頼しました。
詳しくはこちらの商品ページでも解説していますが、在りし日のシェットランド・ニッターたちの写真の数々だけでも興味深く、ニットに興味がある方はもちろん、世界各地の伝統文化、手仕事に関心のある方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です(オールカラー。テキスト英文。チャート・写真多数)。

誕生日のぬいぐるみ

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おととしの夏、ぬいぐるみを編みました。フリー(無料)・パターンで作る、身長(?)20cmほどの小羊のぬいぐるみです。

パターンの作者はBarbara Primeさん。raverlyのデザイナー・プロフィールによりますと、カナダのモントリオールに住むBarbaraさんは、2006年、ご主人と一緒に彼女がデザインするぬいぐるみを扱うサイト「Fuzzy Mitten」を立ち上げたそうです。

彼女がデザインしたぬいぐるみは、このFuzzy Mitten Lamb以外にも、たくさんあります(ココで見ることができます)。「River Otter」(かわうそ)や「Alpaca with Bikini」(ビニキつきアルパカ)など、どれもつい編んでみたくなるかわいらしさ(有料パターン。すべて英文)。
おまけにこれらは「made from a Fuzzy Mitten™ original design」と記したものをつければ、作った人が自由に販売してもいいのだとか(Fuzzy Mittenサイトより)。すばらしい。

わたしはこのぬいぐるみを、娘の誕生日プレゼント用に作りました。でも日々のあれこれに追われていたせいで、作ろう! と決めたのは、前日の夜。
手元にあった材料をかき集め、焦りながら編み進めましたが、シンプルな作り方のせいもあり、思ったよりも早く(なんといっても、小さいですしね)翌日のお昼くらいには完成しました。

ちなみにこのぬいぐるみ、日本でおなじみのあみぐるみとは、作り方がすこし違います。
かぎ針で増減を繰り返し、立体的に編み進めることが多いあみぐるみに対し(ちなみに、この日本独特のあみぐるみは、海外でとても人気があり、「Amigurumi」という単語にもなっています)、これは棒針でパーツを平編みをし、できあがったものをとじ針で閉じて立体にしていくタイプ。
あみぐるみしか作ったことのなかった(それも、はるか昔に少しだけ)わたしにとって初の棒針「ぬいぐるみ」となりました。

その後、「ひつこ」(ヒツジの子だから、らしい)と名づけられたこのぬいぐるみは、娘の子どもになったようで(よって、わたしはままごとで「おばあちゃん」と呼ばれる羽目に…)、ほぼ毎晩、娘と一緒に寝ています。ぬいぐるみと寝るという習慣がほとんどなかった母からすると正直、びっくりですが、まあ、よかったよかった。
Barbaraさんに感謝です。

使用糸(うろ覚えですが):本体はリッチモア・パーセント(97)とシルクハセガワ・セイカ(019)の二本取り、顔&手足の先はパピー・ソフトドネガル(5229)。

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