3 July 2015 村人

Hydrangea
Forest
Forest2

わたしがいま住んでいる町では、近所を歩いていると、よく知り合いに会います。
それは主にというかほとんど娘関係の、つまり今風にいうと「ママ友」で、最近の流行りなのか、我が町の慣習なのか、我々はなぜか名字ではなく、名前で呼びあいます(だから、わたしは道の反対側から「のりちゃーん!」と大声で呼ばれたりする)。

そういえば実家の母は驚異の情報収集能力の持ち主でした。
わたしが長いこと会っていない友人の近況を、わたしより詳細に把握しており、だからわたしは卒業以来、何十年も会っていない同級生がいまどこで何をしているのか知っていたりもします(年賀状のやり取りナシ)。
フェイスブックはもちろん、スマホもうまく扱えない彼女が、いったいどこでそのような情報を得ているのかというと、
「この前、スーパー(または犬の散歩)で○○ちゃん(友人)のお母さんに会っちゃってね(以下、延々と話が続く……)」
昔ながらの地域コミュニティからなのでした。

わたしがこの町に越してきて、はや数年。娘のおかげで、各所で遭遇する「ママ友」と頻繁に立ち話をするようになり、その結果、ネットにはのっていない様々な情報(口コミ)を期せずして得るようになりました。
多分に人見知りが激しいわたしにとって、この状況は自分でも驚きですが、我が町では信頼性の高いローカルな情報(たとえば子どもの病院など)は主に口コミでしか流通していないのです。
そして、それを交換しあえる「ママ友」は、たとえていうならロールプレイングゲームの「親切な村人」。勇気を出して「話す」ボタンを押せば(コミュニケーション能力が元来低いため、ついこういう表現になる)、その度にいいヒントをくれる心強い存在なのです。

なるほどこうやってあの人(母)は情報を得ていたのね。古今東西、おそらく変わることのない裏(?)情報ネットワークにわたしもやっと(そして、おずおずと)接続した気分です。